普通な僕と、普通な毎日。

女子生徒の放課後を、見送っていたら

日が暮れたよ。

オレンジ色の足を真顔で、何気無く眺めてた。

干渉しないで、干渉できないから

自然な姿の横顔を、見つめていられる。

見つめすぎて、逃げられた。

恥ずかしくなっても、表情はそのままだった。

真顔の裏側で、それぞれが掻き乱してる。

それが、見えないから

何気無く日常は

穏やかだった。

今日も、明日も、放課後は同じ再現だった。

誰かが蹴ったボールの鈍い音、そこから抜け出した。

甲高い音は固い金属音みたいに突き抜けて。

ボールを蹴った誰かの表情は、きっとその音に重なって、

強さを誇示してるだろう。

干渉しないで、干渉できないから

窓際でカーテンに巻かれ、校庭に響くその音を聞いて

そんな事を考えていた。

埃の匂いで、手を出し窓を開けたら

驚いた声が聞こえて、カーテンから顔を出したら

教室に二人、笑う声が響いた。

それが見えないから

何気無く日常は

穏やかだった。

普通な毎日。君と僕がいた。でもまだ僕は、君の事を何も知らないからさ

「今を壊したい。」

普通な僕と、普通な毎日。